建築家 木子七郎氏を知っていますか?
本日から「シリーズ 愛媛にゆかりのある人物」と題して、さまざまな業績を残した人物を紹介していきましょう。
第1回は、建築家 木子七郎〔きご しちろう(明治17年〜昭和30年)〕氏です。
そのお名前は初めて聞きました。どんな建築物を設計された方なのですか?
愛媛県庁が有名ですが、まずは彼の生涯から確認しましょう。
明治17年 京都で生まれる。
明治44年 東京帝国大学工科大学建築家を卒業。大林組設計部技師として大阪へ。
大正 2年 木子七郎建築事務所を開設。大阪を拠点に公共建築などの設計を手がける。
大正10年 海外を視察〔中国、インド、ヨーロッパ、アメリカ〕。
昭和12年 フランスよりレジオンドヌール勲章を授与される。
昭和30年 逝去
大阪を中心に活動された方なのですね。愛媛県との関わりについて教えてください。
彼の妻のお父さんが新田帯革製造所〔現 ニッタ〕を創始した新田長次郎という愛媛県出身の実業家で、松山高等商業学校〔現 松山大学〕創立に際して創立費と経営費を出資した人物です。
そうか!それで愛媛県にも木子さんが設計した建築物があるのですね。
その通りです。では、松山市内にある木子七郎氏設計の建築物を見ていきましょう。
萬翠荘〔旧久松伯爵本邸〕
竣 工 大正11年 総工費 約30万円〔当時〕
※ 昭和60年 愛媛県指定有形文化財となる。
※ 平成23年 萬翠荘本館と管理人舎の2棟が国重要文化財に指定される。
石崎汽船旧本社
竣 工 大正13年12月28日 ※ 鉄筋コンクリート造2階建て
総工費 38,366円〔当時〕
※ 平成13年 国の登録有形文化財に指定される。
愛媛県庁舎
着 工 昭和2年11月1日 竣 工 昭和4年2月9日
高 さ 32.6m〔4階建て〕
総工費 約100万円〔当時〕
鍵谷カナ頌功堂
竣 工 昭和4年 ※ 伊予織物同業組合が建立
※ 鉄筋コンクリート造で、8本のエンタシスを持つ柱が本瓦葺の八角屋根を支える。
※ 平成13年 国登録有形文化財に指定される。
様式美がすごい!竣工の時期を見ると全て戦前…。ということは松山大空襲を耐え切ったのですね。
その通りです。竣工当時そのままで残されていますから、本当に貴重な建築物なのです。
木子七郎さんだけでなく、建築物に関わる人物や会社なども調べてみます。
【アクセス】
① 萬翠荘
② 石崎汽船旧本社
③ 愛媛県庁舎
④ 鍵谷カナ頌功堂