正岡子規『散策集』吟行の道をたどろう！　御幸寺山麓へ②

　今回は、子規たちが常楽寺を訪れたあとの吟行ルートをたどりましょう。柳原極堂の回想を再確認しますね。

　常楽寺を出た子規たちは北へ進んでいます。「数町にして御幸山の麓へ出で」とありますが、これは現在松山赤十字病院、松山市立東雲小学校、松山市立東中学校、愛媛大学理学部が連なる東側の道を通って護国神社前の道まで到達したということです。

　いいえ。極堂の回想に「練兵場」という語があるでしょう。現在、松山大学と愛媛大学の敷地がある辺りは「城北練兵場」と呼ばれる陸軍（歩兵第22連隊）の演習用地だったのです。

　はい。ここは広大な野原で、立ち入りが禁止されていた訳ではなかったので、子供たちが遊んだりイベントを開催されたりもしていたようです。子規たちが歩いたのは練兵場の東端側の道です。地図で確認しましょう。

　子規たちは六角堂を訪れたあと北進し、護国神社前の道を西に進んで千秋寺に立ち寄り、練兵場を横切って愚陀仏庵へ帰っています。『散策集』の記述を見てみましょう。

　その通りです。例えば、現在松山東警察署があるところは当時松山農学校で、その周辺は桑畑でした。その証拠に、東署の門前に「愛媛農学教育発祥之地碑」が建てられていますよ。

　これは松山市道後一万集会所前にある地蔵堂のことです。当時はここが松山の町の北東端でした。

　はい。現在の地蔵堂の写真を見てみましょう。

　護国神社前の道に到達した子規たちは、西進して千秋寺に向かいます。ちなみに大川沿いのこの道は遍路道としても知られていて、道標が建てられていますよ。

　千秋寺に至るまでに子規は二つの句を詠んでいます。

　確かにそうですね。吟行をしながら子規が何を見て、何を考えたかがすぐに分かるのも『散策集』のよいところです。さて、千秋寺に到着した子規は、二つの句を詠んでいますよ。

　これらは松山の歴史と信仰に関わることです。一つ一つ確認していきましょう。

　『散策集』の内容を調べてると、松山の歴史や伝承について知ることができるでしょう。

　そう思います。では、現在の千秋寺の現況を写真で確認しましょう。子規の句碑が建てられていますよ。

　このあと子規たちは、練兵場を横切って東雲神社へ至り、そこから往路と同じ道をたどって愚陀仏庵へ帰っています。その間に子規が詠んだ句をみてみましょう。

　これらの語句の意味は次のとおりです。

　その通りです。では、松山市内に建てられている子規の句碑を紹介して講座を終わりましょう。