別子往還道の現在 〜新居浜の発展を支えてきた銅の運搬路をたどろう！〜

　Erikoさん、上の写真は新居浜市にある商店街の入り口を撮影したものです。「登り道」という名称がありますが、その由来について考えてください。

　その通り。別子銅山で採掘された銅は、かつてこの道を通って運搬されていました。まず最初に銅の運搬路の歴史について確認しましょう。

　下の地図を見てください。

　地図の範囲を拡大して別子銅山の場所も見れるようにすると、別子往還道の距離を確認できますよ。

　銅を運搬する手段は時代ごとに異なっています。年表風にまとめてみましょう。

　ちなみに「仲持さん」というのは、奥深い銅山で精錬した粗銅や山中での生活物資を背負って険しい山道を運搬した人たちのことです。男性は45kg、女性は30kgの物資を運んだと伝えられています。

　そうだと思います。なお、牛車道の開設に関わったのは、別子鉱山鉄道を開通させた広瀬宰平氏です。

　そうですね。今回は別子往還道のルートとその現状について紹介します。

　登り道サンロードの南側入り口付近に地図付きの解説板が設置されていますよ。

　新居浜市を訪れた際に別子往還道の風景を撮影しています。口屋から南へ順番に見ていきましょう。

　大阪へ往復する船と仲持や牛車の発着事務を扱った口屋〔浜宿〕の現況を確認しましょう。下の写真は口屋跡記念公民館を訪れた際に撮影した写真です。

　Wikipediaに明治14〔1881〕年撮影の口屋の写真が掲載されています。その写真と上の写真をよく見てください。

　はい。「口屋あかがねの松」と呼ばれています。

　松の木の隣に「口屋跡由来記」の碑が建てられています。碑文を読んでみましょう。

　その通りです。それでは、別子往還道をたどる旅を始めましょうか。撮影した写真を順番に紹介していきます。

　別子往還道は、ここから「登り道サンロード」の入り口へと続きます。

　現在はなくなっていますが、かつてはニチイ・ダイエー等のショッピングセンターや複数の映画館があり、かなり活気があったのですよ。商店街内を撮影した写真がいくつかありますので、見てみましょう。

　そうですね。口屋を物資の積出し港にすることが決定されたのは元禄年間ですから、江戸時代から現代まで人々が利用している歴史的道だと言えますね。Erikoさん、さらに南へ、別子往還道をたどる旅を続けましょう。

　続いて、新居浜駅の北西にある高木交差点までのルートを確認します。登り道サンロードの南入り口を起点として別子往還道を地図上に示すと、下図のようになります。

　はい。明治10〔1877〕年に落成し、広瀬氏の地所である現在地へ明治20〔1887〕年に移築するまで10年間この地にありました。

　そうかもしれませんね。さて、ここからは別子往還道の現況を動画〔４分33秒〕で確認しましょう。どうぞご覧ください。

　薬師如来のことです。

　おそらく「新居浜八十八ヶ所霊場」に関わるものだと思います。すぐ近くに河内寺がありますからね。詳細は「ニッポンの霊場」ホームページを見ておいてください。

　さて、別子往還道をたどる旅を続けましょう。高木交差点付近からは下図のように道が続きます。

　そうです。この道も動画でみてみましょう。

　そうです。この写真に写っている橋と同じです。

　はい。国鉄新居浜駅連絡線跡から別子往還道の方を見た風景を撮影していますので見てください。

　別子往還道は国鉄新居浜駅連絡線の路線跡とJRの線路を越え、さらに南へ続きます。

　JRの線路付近から国道11号付近までの別子往還道のルートを地図で確認しましょう。

　地図中の「ここから！」と示した場所の風景は、下の写真の通りです。

　そうです。ここから南側に向きを変えて別子往還道を撮影しました。下の写真の風景が目前に広がります。

　本当にその通りですね。では、JR線路南側から国道11号に合流するまでの別子往還道の風景を動画で確認しましょう。

　昭和22〔1947〕年に米軍が撮影した航空写真に当時の松原池が写っていますよ。見てください。

　そうです。航空写真中に別子往還道、別子鉱山鉄道と国鉄新居浜駅連絡線を記入してみましょう。

　「新居浜のむかしばなし」ホームページに、『松原池（かご池）増築にまつわる話』が掲載されています。読んでみましょう。

　そのようです。『泉川町史』には、桜の名所としても知られていたことが記載されています。ホームページ中の記事にもあるように、松原池は昭和50〔1975〕年末までに埋立てられ、現在は市営住宅等が建てられています。

　銅や生活物資が別子往還道を往来していた頃、道沿いに松原池がありました。物資等を運搬していた人々は松原池を見てどのような思いを抱いたのでしょうね。想像は尽きません。さて、国道11号を渡り、さらに南へ歩みを進めましょう。

　国道11号を超えてさらに南へ進むと、香川県の金刀比羅宮まで続く金毘羅街道に到達します。別子往還道と金毘羅街道が交差する付近に成立しているのが喜光地商店街で、別子往還道は商店街内を少し東へ進み、再び南進して立川〔中宿〕まで続きました。国道11号から喜光地商店街までの別子往還道の現況を動画で確認しましょう。

　新居浜市が商店街内に解説板を設置しています。見てみましょう。

　商店街を歩いてみると、盛んだった頃を示すものがまだ残されています。写真で確認しましょう。

　別子往還道は、角野派出所跡に建てられた遍路道標がある所から再び南へと向きを変えました。それでは別子往還道の最終点である立川〔中宿〕までの別子往還道の現況を動画で確認しましょう。

　かつて、生子山には山根製錬所がありました。山の頂上に見える煙突は精錬所のものです。その煙突が見えるので、人々がいつしか「えんとつ山」と呼ぶようになったのです。山根製錬所の歴史を簡単にまとめましょう。

　現在は高さ約20mの煙突だけが残され、平成21〔2009〕年に国の登録有形文化財として登録されています。「住友グループ広報委員会」ホームページに、明治23〔1890〕年当時の山根製錬所の写真が掲載されていますよ。

　現在、地域の方々によって登山道が整備されているので、約20分ほどで頂上に到達できますよ。ぜひ行ってみてください。

　では最後に、立川〔中宿〕について紹介します。

　そうです。ここから国領川方面を見ると、広瀬宰平氏がつくった牛車道を見ることができます。その上り口には解説板も設置されていますよ。

　長くなりましたが、別子往還道をたどる旅を終わります。新居浜市にはこの他にも別子銅山の産業遺産がたくさん残されています。ぜひ現地を訪れてくださいね。